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清濁併せ呑めません

当事務所は先客万来を目指して、
直接には業務に関係ない方の来所も
大歓迎で営業時間中でもお越しいただいています。

会計事務所はサービス業そのものですから、
我々は多くの方と会うことは厭いません。

事務所のハコも、
そのようなスタンスで、
「見てください!」
という方向性のハコにしております。

ただ、
そうしておりますと、
たまには当事務所と全く違う方向性の発想を持った方もお越しになります。

それはそれで出会いを楽しんでお引き取りいただくのですが、
「類は友を呼ぶ」とはよく言ったもので、
殆ど方向性の違う方のご訪問はありません。

私としては清濁併せ呑むような、
間口を広く開けた状態のつもりなのですが、
自然と方向性の違う方は淘汰されてしまいます。

本日、
日本公認会計士協会近畿会の「平成22年度 年次研究報告書」が届き、
その中に「企業及び非営利法人における反社会的勢力に対する防御策」というテーマがありました。
主として総会屋や詐欺に対する企業の防御策がテーマですが、
そこに、
「全法令を遵守する」という姿勢を貫いて取引をしていくならば、
自然と取引の相手方から反社会的勢力が排除されていく。
という意味の記載がありました。

まずはやはり、己(自社、経営者)の姿勢が大切。
ということですね。

復興

最近のJR神戸線内にて、

震災の影響により電車の保守部品が確保できないために、
この4月より一部の電車の運行を取りやめる旨、
また、
4月から実施予定だった女性専用車両の終日実施を延期する旨、
(今までは特定の時間帯のみ実施)

以上のようなアナウンスがなされていました。

まだまだこれからも、
思いがけない影響があちこちに出てくるでしょう。

今の関西の企業にできることは
各企業によっていろいろあるでしょうが、
いずれにしても目の前の本業に一心に専念して
自社を維持存続・発展させることは復興の支援になると考えます。

先日、
当事務所のクライアントの集まる会合がありました。
当然に、各社の本業は全くバラバラで、
バネ製造、不動産賃貸、大衆娯楽、工作機器商社、靴メーカー、金属加工業、飲食チェーン等々等々・・・
他のクライアントも含めて、
全ての仕事が復興に必要な仕事であると痛感しました。

当事務所も、
クライアントが良い仕事ができるよう支援することが
復興の一助になると考え、
目の前の本業に一心に専念し、良い仕事をします。

東北関東大震災

被災者の方に心よりお見舞い申し上げます。

阪神大震災の被災者の1人として、
表現する言葉すら浮かびません。

生き残られた方には、
この先の長い人生を精一杯生きていただきたいと願います。

イノシシ

 先日、独りで六甲山に登りました。
 たまたま前にも後ろにも他の登山客がいない状況で、「今日はいつもと違って静かやから、独りで考え事をしながら登れて有り難い」と感じていました。
 六甲山は野生のイノシシが数多くいて、あちこちに「イノシシ注意」の看板があります。
 私自身は六甲山で、遠くの藪の中を1匹のイノシシが走り去る姿や、遊戯施設の金網の外の山中での群れや、土留め壁の上等々、自分とイノシシとの間に「安全地帯」がある状況でしか見たことがなく、それほど危険を感じていませんでした。

 しかし、先日は、カーブした登山道を曲がった出会い頭に1匹のイノシシと出くわしました。
 小さなメスでしたが、周りに人はおらず、完全にお互いが正面を向いた出会い頭の状況で、双方ともジッとフリーズしました。
 私との距離はおよそ3メートル。
 野生の獣とサシで、至近距離で、正面から向き合うのは初めてでした。
 咄嗟に「これは私が下手に動いてイノシシが突進してきたら大怪我をする」とフリーズしました。
 そのまま正面を向き続けながらジリジリと動き、最も近くにあった細い木の後ろに回りこみましたが、まだお互いに正面を向き合ったままです。
 「こりゃあ、動くに動けないな」と困ったまま、10分くらい静止してたでしょうか・・・
 もっともっと長く感じましたが・・・
 私が来たのと逆方向(イノシシの後ろ方向)の遠くから若い男性集団の登山客の声が聞こえてきました。
 私は一応、安全のために「イノシシがいますよ!」と、イノシシから眼をそらさずに叫びましが、日本の若い男性は集団になると勇敢で「あ、男前のイノシシがおる」と遠くから叫んではしゃいでくれたので、当のイノシシはゆっくりと藪の中に消えていきました。

 さて、
 その後の下山時のことです。
 自分でも驚いたのですが、登るときには全く気づかなかったイノシシの足跡や、地面を掘り返した跡が、勝手に次々と目に入るようになっているのです。
 どうやら私の五感が、イノシシとの遭遇という恐怖体験でフルに覚醒し、意識しなくても敏感に危険を事前察知するようになったようなのです。

 「リスク」というものは、このように実体験として恐怖を感じて初めて事前に察知できるようになるものであって、頭で分かっているだけでは五感は覚醒せず、事前察知できるものではないと痛感する出来事でした。
 経営も同じく、恐怖を伴った「リスク」を実感したことのない業績好調の経営者は、イノシシと実際に対峙したことのなかった私と同様に、先々の経営のリスクに敏感になれない、つまり「リスクヘッジのためのコンサルティング」なぞ事前に(好調時に)我々に依頼してくるはずがない、と妙に納得する出来事でした。

状況が命令する

今回のブログは、
この名言のタイトルだけにして、
余計な言葉は付け加えないことにします。

ビスポーク

ビスポークとは、主にファッション業界で使われる言葉で、
オーダーメイドや注文品という意味です。
よく靴やスーツのオーダーメイドを指して使われる言葉です。

語源は Be Spoken (古語では Be Spoke)

既製品(Ready Made)の反対語です。

つまり、
注文主と製作者によって話されながら作られる、
または、
製作者が注文主から話されながら作られる、
という感じの意味でしょう。

この「話し合いながら作る」という意味合いは
味わい深いですね。

人の体型や足型のように、
全ての経営には二つとして同じ経営はありせん。
「既成の経営」などというものは無いのですから、
我々会計事務所が作成するような経営に使う情報(管理会計等)も、一品一品単品生産の注文生産をしないと真に役立つモノになりません。
その際、ビスポークつまり経営者(クライアント、依頼人)と話し合うことが絶対的に重要です。

どのような経営方針(想い)なのか、
どこに向かって進んでいるのか、
今はどの段階なのか、
社外の利害関係者との状況はどうなのか、
どこに問題があるのか・・・
話し合うことよって明確になりますし、話し合っただけで半分くらい解決してしまうこともあります。

これは余談ですが、
我々公認会計士の仕事である監査は英語でaudit(オーディット)といいます。
これは「聞くこと」という意味で、audio(オーディオ)と同じ語源です。

ビスポーク(注文品)とかオーディット(監査)とかの言葉の意味を考えると、
現実に人を前にして会話することの重要性がよく分かります。

たまには外国語もいいですね。

言い値で買うてもろてるバネ屋さん

常日頃より私が大変に尊敬しておりますクライアントの経営者で、
東海バネ工業株式会社の渡辺良機社長という方がおられます。
(社名・社長名の公表はご了承済みです)

数々の賞を受賞をされている企業で、
かつ、
数多のメディアで頻繁に取り上げられている社長ですので、
いまさら私がブログ投稿する必要もないほど有名な方です。

しかしながら、
まるで弟分のように親しくさせていただいている中で、
あまりにも示唆に富んだお話が多いので、屋上屋を架すことを承知で(まず第1回目の)ブログ投稿をいたします。

渡辺社長は日頃から東海バネ工業株式会社(自社)を
「言い値で買うてもろてるバネ屋」と公言されています。

ご本人はアッサリと一言で言われますが、
バネというコモディティ製品で、
かつ、
大量生産の代名詞のような製品分野の部品メーカーとして、
現実の経営の中でこれを実践するのは並大抵ではありません。
神業に近いです。数々の受賞も当然でしょう。

しかしここで東海バネ工業株式会社の経営を
後付けで論理立てて解説するのは経営学者や評論家に譲ります。

私のような実務家の立場としては、
・己の着想に従って本気で狙いを定め
・組織もそこに向かせて現実に動かし
・長期に渡って組織ごとブレずに走り続ける
その実践が如何に困難なことか痛いほど分かるだけです。

少なくとも、
教科書を見て経営をするのではなく、
自らがオリジナルとして教科書になるという気概と、
先駆者としてのリスクを背負う覚悟と実践がそこにはあります。

驚愕するとともに、
彼も人なり、我も人なり、(私を含めた)他の経営者にだって出来ないはずはない、という希望を持たせていただける経営者です。

「言い値で買うてもらえる自社製品の生産」
もしも羨ましいと感じる経営者の方々は、
羨ましがる前に自社も本気でオリジナルの方法でそこに向かいましょう。

百聞は一見に如かず。
東海バネ工業株式会社は広く工場見学を受入れておられます。
世の経営者は工場見学の申し入れをされてみてはいかがでしょう?
http://tokaibane.com/
そこで何を観て何を受け取るか?

私も経営者の端くれとして、
当事務所が東海バネ工業株式会社から何を学び、どのようなオリジナルなことを実践しているか、
世に問うていきたいと思います。


当事務所にある唯一の
東海バネ工業株式会社の製品(非売品)

ファイル 8-1.jpg

魔法のような節税はない

日本は法治国家ですので、税金は法律によって計算されます。
(厳密には省令や通達等ありますがここでは単純化のため「法律」に含めます)
法律ですから、任意の納税主体に関して誰が計算しても同じ税額となるように作られています。
また、
公正課税の観点から、各納税主体が不公平感を持たないようにも作られています。
国の税制の企画・立案は財務省主税局がしています。
そこは、ペーパー上での頭脳比べならば日本のトップ集団の一つと言ってもだいたいOKの集団です。
また、
公平な税制と簡単な税制は相反します。
我国の国民は公平な税制を望んでいますから、日本の税制は極度に複雑な税制となっています。
よって、
上述の頭脳トップ集団といえども、稀に法律の抜け穴が生じることはあります。
しかし、税法は毎年改正されるので、抜け穴があったとしてもまたすぐに頭脳トップ集団が塞ぎます。

このような状況で、魔法のような節税などあるはずないです。

ただ、我々会計事務所は税法が用意している地味な節税規定を体系的に使うことはできます。

その上で、経営者の方は魔法のような節税などないという前提で一心に本業に専念して下さい。

二勝一敗

1. 348勝116敗1分 勝率7割4分8厘
2.1433勝781敗   勝率6割4分7厘
3. 400勝298敗   勝率5割7分3厘
何の数字かお分かりでしょうか?

これは
1.大相撲第35代横綱 双葉山
2.プロ棋士 大山康晴 第十五世名人
3.元プロ野球選手 金田正一投手
それぞれの方の公式戦の生涯成績です。

どんなに強くて名を残すような人でも、
勝負の世界では生涯成績はおおむね2勝1敗つまり勝率6割6分6厘くらいになるということでしょう。
もちろん、
最初から負けるつもりで勝負するはずないので全勝を狙うのは当然です。
しかし、ここで大事なのは少々負けが込んでいても
「2勝1敗であれば歴史に名が残るほどの好成績」と割り切って
前を向いて気持ちを切り替えて進んで行くことだと思います。
もちろん、負けた原因分析と対応策の実施は不可欠です。
さて、
私も興味深いミニ体験があります。
大昔、会計士試験の受験をしていた頃、
受験を始めた当初は受験予備校の小テストで100点満点を狙っていたのですが、
結果はずっと50~60点ばかりでした。
ある時、フッと最初から70点狙いをするようにしたら、
不思議なことに常時80~100点が取れるようになりました。
満点を狙うと、全ての問題を一から解いてしまうのですが、
ハナから70点狙いだと、とにかく解ける問題から解くことになります。
結果、満点が取れるのです。
「全勝するために勝ち越しを狙う」
という不思議なスタンスになります。
もう少し平たく言うと、
・目の前の着手可能な課題から着手する
 時間のかかることは後回しにしてとにかく前に進む
 ただし、後回しにした課題は必ず後で着手する
・急がば回れ
という感じでしょうか。
実はこれは頭で分かっていても、実践は非常に困難です。
自分が当事者だと、ついつい目の前の泥沼の課題にドップリ浸かってしまうのです。
しかし、実際の仕事(仕事以外も)の場面で困難なテーマにぶち当たった時、
「ここで泥沼に入るのは無用な理想主義(満点狙い)なのではないか」と冷静に考えて、
勝ち越し狙いで、
出来る課題から順にクリアして前に進む視点も持ってはいかがでしょうか。
なにせ
2勝1敗であれば歴史に名が残るほどの好成績なのですから。

実体験の凄味

中小企業の社長さんは好むと好まざるとにかかわらず、プレイングマネジャー(選手兼監督)の立場になっておられる方が多いと思います。
私も小さな所帯の事業主の例に漏れず、プレイングマネジャーとなっています。
プレイングマネジャーで有名なのは元プロ野球の野村克也氏や古田敦也氏でしょう。
かつて他人事として見ていた時は、
お二人ともキャッチャーという半分くらい監督業務みたいなポジションやったし、それほど負担ないであろう、むしろ現役選手の立場も分かるし監督専任よりも良い結果を出しやすいのではないかと思ってました。
しかし、実体験として自分がプレイングマネジャーになってみると、個人としてもチームとしても同時に良い結果を出すことが如何に離れ業か、
身に沁みて分かりました。
マネジャー専任よりもプレイングマネジャーの方がいいのであれば、もっと多くの事例があるはずですから、やはり困難なことなのでしょう。
そりゃ、
寝ても覚めてもチームの方向性を考え示し、
各選手の適性を見つめ続け、
打順やポジションやローテーションや練習法や育成法やゲーム中の選手交代や戦力補強等々を考え、
チームの勝利を考え続けているのに、
いきなり「はい打席に立って」「はい球を投げて」と言われても結果を出すのは常人には無理でしょう。
プレイヤーどころか特定分野のコーチ業務でも困難でしょう。
自ら楽器奏者として音を出しながら指揮をするオーケストラ指揮者が殆どいないのと似た感じでしょうか。
この実体験から、企業経営においてもマネジャー(経営者)はプレイヤー(従業員)としての業務から遮断する方が結果を出しやすいと感じています。
「それが出来ないからプレイヤーも兼ねてるんやないか!」と経営者の方々からお叱りを受けそうですが、
ここはやはり、
なんぼ自分の方が上手く業務を遂行できるとしても、
なんぼ人手が足りなくても、
じっと本気で我慢して自らプレイヤーとしての仕事をせずに、何とか現行のプレイヤーが能力を発揮して組織が機能するように智恵を絞らないといけないのでしょう。
その1点のためだけにでも組織を一定規模以上に大きくする値打ちはあるのかもしれません。
また、逆説的ですが、
そうしなければ組織は適正規模まで大きく強くならないと感じています。