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実体験の凄味

中小企業の社長さんは好むと好まざるとにかかわらず、プレイングマネジャー(選手兼監督)の立場になっておられる方が多いと思います。
私も小さな所帯の事業主の例に漏れず、プレイングマネジャーとなっています。
プレイングマネジャーで有名なのは元プロ野球の野村克也氏や古田敦也氏でしょう。
かつて他人事として見ていた時は、
お二人ともキャッチャーという半分くらい監督業務みたいなポジションやったし、それほど負担ないであろう、むしろ現役選手の立場も分かるし監督専任よりも良い結果を出しやすいのではないかと思ってました。
しかし、実体験として自分がプレイングマネジャーになってみると、個人としてもチームとしても同時に良い結果を出すことが如何に離れ業か、
身に沁みて分かりました。
マネジャー専任よりもプレイングマネジャーの方がいいのであれば、もっと多くの事例があるはずですから、やはり困難なことなのでしょう。
そりゃ、
寝ても覚めてもチームの方向性を考え示し、
各選手の適性を見つめ続け、
打順やポジションやローテーションや練習法や育成法やゲーム中の選手交代や戦力補強等々を考え、
チームの勝利を考え続けているのに、
いきなり「はい打席に立って」「はい球を投げて」と言われても結果を出すのは常人には無理でしょう。
プレイヤーどころか特定分野のコーチ業務でも困難でしょう。
自ら楽器奏者として音を出しながら指揮をするオーケストラ指揮者が殆どいないのと似た感じでしょうか。
この実体験から、企業経営においてもマネジャー(経営者)はプレイヤー(従業員)としての業務から遮断する方が結果を出しやすいと感じています。
「それが出来ないからプレイヤーも兼ねてるんやないか!」と経営者の方々からお叱りを受けそうですが、
ここはやはり、
なんぼ自分の方が上手く業務を遂行できるとしても、
なんぼ人手が足りなくても、
じっと本気で我慢して自らプレイヤーとしての仕事をせずに、何とか現行のプレイヤーが能力を発揮して組織が機能するように智恵を絞らないといけないのでしょう。
その1点のためだけにでも組織を一定規模以上に大きくする値打ちはあるのかもしれません。
また、逆説的ですが、
そうしなければ組織は適正規模まで大きく強くならないと感じています。